【管理者】Office365会議室カレンダーとZoom Roomsの連携

2023年11月22日 07:27
更新

概要

会議室のカレンダーリソースをZoom Roomに連携すると、会議室のTVディスプレイ、コントローラー、スケジュール作成用ディスプレイには、そのZoom Roomsで予約されたミーティングが表示されます。ユーザーは、会議室の予定にZoomミーティングの予定を追加することでZoom Roomでのミーティングをスケジュールすることができます。Zoomにカレンダーリソースへのアクセス権限を与えることにより、ユーザーはワンタッチでミーティングを開始、参加することができるようになります。

Zoom Roomsにカレンダーサービスを連携させる前に、Office365管理者は、Office365内にZoom Rooms専用のユーザーを作成し、作成したユーザーを通じてカレンダーリソースへアクセスするよう設定する必要があります。

Office365管理者は、すべての設定を完了後、専用ユーザーの視覚情報を使用して、アカウント内のZoom Roomsがカレンダーサービスとその全てのカレンダーリソースを利用するための権限を付与します。

この記事の内容は次の通りです。

Office365内にZoom Rooms専用のユーザーを作成し、カレンダーリソースにアクセスする
各会議室のカレンダーリソースを作成または、検索する
アクセス許可の設定
- 「アプリレベルの借用」として設定する
- 「完全アクセス権を持つ代理人」として設定する
Windows PowerShellを使用してカレンダーリソースの設定を変更する
ZoomとOffice365カレンダーを連携する

前提条件

Zoom Roomsの管理権限
Office 365の管理者権限
- 新規ユーザーの作成権限
- 会議室のカレンダーリソースの作成、および管理権限
- Windows PowerShellへの管理者アクセス権限

Office365内にZoom Rooms専用のユーザーを作成し、カレンダーリソースにアクセスする

Office 365に管理者としてサインインします。
Office 365アカウントにZoom Rooms専用ユーザーを作成します。手順は、Microsoft「ユーザーをOffice 365に追加する」をご参照ください。
注意：Zoom Rooms専用ユーザーはメールを受信できる必要があるため、Office365ライセンスを割り当てる必要があります。
専用ユーザーのメールアドレスとパスワードを書き留めておいてください。

各会議室のカレンダーリソースを作成または、検索する

注：この記事では新しいMicrosoft Exchange管理センターの画面を元に記事を作成しています。従来のMicrosoft Exchange管理センターを利用している場合は新しい管理センターへ切り替えの上、ご利用ください。

管理者としてMicrosoft Exchange 管理センター (EAC) へサインインします。
[受信者] 、[リソース]の順にクリックします。
[会議室リソースを追加する]をクリックします。
会議室名、会議室のメールアドレスを入力し、[次へ]をクリックします。

Zoom Roomsを簡単に検索できるよう、各会議室リソースにZRなどの接頭辞を使用されること、または、判別がつくように作成することが推奨されます。
定員、場所などの会議室のプロパティを入力し、[次へ]をクリックします。
予約オプション設定を必要に応じて変更し、[次へ]をクリックします。
会議室リソースの情報を確認し、[作成]をクリックします。
[リソースメールボックスの作成が完了しました]のメッセージが表示されたら[完了]をクリックします。

アクセス許可の設定

この項目ではZoom Rooms専用ユーザーの権限の設定を行います。会社のポリシーに合わせ、

[「アプリレベルの借用」として設定する]、[「完全アクセス権を持つ代理人」として設定する]のどちらかの作業を行う必要があります。

「アプリレベルの借用」として設定する

ロール管理と割り当ての更新

注：アプリレベルの借用にはExchange Webサービスを使用する必要があります。これはMicrosoft Graph APIではサポートされていません。

Windows PowerShellを[管理者として実行]のオプションを利用して実行します。
Windows PowerShellから会議室の設定を管理するExchange Onlineへ接続するためには、先進認証を利用する必要があります。先進認証での接続を初めて行うPCでは、次の2つのコマンドを実行します。
```
Install-Module -Name ExchangeOnlineManagement
```
```
Import-Module ExchangeOnlineManagement 
```
<UPN>の部分をOffice365の管理者のユーザープリンシパル名(通常はメールアドレス)に変更した上で、次のコマンドを実行します。
```
Connect-ExchangeOnline -UserPrincipalName <UPN>
```
注：管理者には「組織管理」「受信者管理」の両方の権限が必要になります。
ブラウザが起動し、Microsoftのサインイン画面が表示されます。Office365管理者のユーザー名とパスワードでサインインします。
<ZR Address>をZoom Rooms専用ユーザーのアドレスに変更し、下記のコマンドを実行して新しい管理者の役割を作成します。
```
New-ManagementRoleAssignment -Role:ApplicationImpersonation -User: "<ZR Address>"
```

下記のコマンドを実行し、「RoomMailBox」または「EquipmentMailbox」のカレンダーリソースに制限された管理スコープを作成します。

New-ManagementScope -Name "ResourceMailboxes" -RecipientRestrictionFilter {RecipientTypeDetails -eq "RoomMailbox" -or RecipientTypeDetails -eq "EquipmentMailbox" -or UserPrincipalName -eq '<ZR Address>'}

<ZR Address>をZoom Rooms専用ユーザーのアドレスに変更し、下記のコマンドを実行して役割、管理スコープ、専用ユーザー間の関係を作成します。
```
New-ManagementRoleAssignment -Name "ResourceImpersonation" -Role ApplicationImpersonation -User "<ZR Address>" -CustomRecipientWriteScope "ResourceMailboxes"
```

注：コマンド内の下記の引数は状況に応じ変更ができます。

ResourceMailboxes：手順6で作成する管理スコープ名
ResourceImpersonation：手順7で作成する役割、管理スコープ、専用ユーザー間の関係の名前

「完全アクセス権を持つ代理人」として設定する

専用ユーザーに会議室リソースを委任する

Windows PowerShellを[管理者として実行]のオプションを利用して実行します。
Windows PowerShellから会議室の設定を管理するExchange Onlineへ接続するためには、先進認証を利用する必要があります。先進認証での接続を初めて行うPCでは、次の2つのコマンドを実行します。
```
Install-Module -Name ExchangeOnlineManagement
```
```
Import-Module ExchangeOnlineManagement 
```
<UPN>の部分をOffice365の管理者のユーザープリンシパル名(通常はメールアドレス)に変更した上で、次のコマンドを実行します。
```
Connect-ExchangeOnline -UserPrincipalName <UPN>
```
注意：管理者には「組織管理」「受信者管理」の両方の権限が必要になります。
ブラウザが起動し、Microsoftのサインイン画面が表示されます。Office365管理者のユーザー名とパスワードでサインインします。
<ZR Address>をZoom Rooms専用ユーザーのアドレス、<room_name>を会議室リソースのメールアドレスに変更し、下記のコマンドを実行します。
```
Add-MailboxPermission -Identity <room_name> -User <ZR Address> -AccessRights FullAccess
```
<ZR Address>をZoom Rooms専用ユーザーのアドレス、<room_name>を会議室リソースのメールアドレスに変更し、下記のコマンドを実行します。
```
Add-MailboxFolderPermission -Identity <room_name>:\Calendar -User <ZR Address> -AccessRights Editor
```
注：カレンダーリソースの言語設定が日本語の場合には:\Calendarを:\予定表へ変更します。
手順5、6を繰り返し、Zoom Roomsに連携する会議室カレンダー全てに実施します。

Windows PowerShellを使用して会議室リソースの設定を変更する

Zoom Rooms上にカレンダー情報を表示し、Zoomミーティングへの参加ボタンを表示させるためには、会議室リソースの設定を変更する必要があります。

Windows PowerShellを[管理者として実行]のオプションを利用して実行します。
Windows PowerShellから会議室の設定を管理するExchange Onlineへ接続するためには、先進認証を利用する必要があります。先進認証での接続を初めて行うPCでは、次の2つのコマンドを実行します。
```
Install-Module -Name ExchangeOnlineManagement
```
```
Import-Module ExchangeOnlineManagement 
```
<UPN>の部分をOffice365の管理者のメールアドレスに変更した上で、次のコマンドを実行します。
```
Connect-ExchangeOnline -UserPrincipalName <UPN>
```
注意：管理者には「組織管理」「受信者管理」の両方の権限が必要になります。
ブラウザが起動し、Microsoftのサインイン画面が表示されます。Office365管理者のメールアドレスとパスワードでサインインします。
会議室リソースの設定を変更するため、次のコマンドの<room_name>を会議室リソースのメールアドレスに変更し実行します。
```
Set-CalendarProcessing -Identity "<room_name>" -AddOrganizerToSubject $false -OrganizerInfo $true -DeleteComments $false -DeleteSubject $false -RemovePrivateProperty $false　-DeleteAttachments $true
```
注意：
- ミーティングのタイトルをZoom Roomsのディスプレイや、コントローラーに表示しないようにするためにはDeleteSubjectの次の$falseを$trueに変更します。
- 「オブジェクト「ZR」が「mycompany.onmicrosoft.com」に見つからなかったので、操作を実行できませんでした。」といったエラーが表示された場合には管理者アカウントでサインインしているかをご確認ください。
- 「Set-CalendarProcessing コマンドが見つかりませんでした」といったメッセージが表示された場合には、管理者アカウントに「組織管理」「受信者管理」の権限が付与されているかをご確認ください。
設定が反映されたかを確認するため、次のコマンドの<room_name>を会議室リソースのメールアドレスに変更し実行します。
```
Get-CalendarProcessing -Identity "<room_name>"| Format-List Identity,DeleteComments,DeleteSubject,AddOrganizerToSubject,RemovePrivateProperty
```

コマンドの実行結果を確認します。手順5のコマンド通りに実行した場合には下記のように表示されます。

Identity : portertest.com/Users/room_name
DeleteSubject : False
AddOrganizerToSubject : False
DeleteComments : False
RemovePrivateProperty : False
DeleteAttachments : True

各会議室リソースに対して手順5から7を繰り返します。
PowerShellを終了します。

ZoomとOffice365カレンダーを連携する

Zoom Roomsの管理権限があるユーザーでZoom Webポータルにサインインします。
[ルーム管理]、[カレンダー統合]の順に開きます。
[カレンダーサービスを追加]をクリックします。
[Office 365]を選択します。
アカウント権限のタイプの項目は、本記事の[アクセス許可の設定]の項目で選択した許可レベルを選択します。
アカウント設定で「アカウント全体を代表してOffice 365のカレンダー統合の許可に同意してください」が無効になっている場合には、「私は Office 365 の管理者です。私は会社を代表して同意します。」の項目にチェックを入れます。
[認可]をクリックします。
Zoom Rooms専用ユーザーのメールアドレス、パスワードでサインインします。
カレンダー統合のページにZoom Rooms専用ユーザーのメールアドレスが表示されることを確認します。

この記事は「Setting Up Zoom Rooms with Office 365」を元に作成されました。

概要